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そばの完全ガイド!食べ方、種類、値段、オススメのお店等まとめ
古くから日本で食されている「そば」。今でも日本では日常的に食べられている和食のひとつです。そばには、実はたくさんのメニューがあります。この記事ではそばの食べ方、種類、値段、オススメのお店情報など日本に来てそばを食べるときに知っておきたい情報をまとめました。
そばとは
そばとは、日本を代表する和食のひとつ。そばの実を粉状に挽き、水で練ったものを細長い麺状に切って茹でた食べ物を指します。
カツオや昆布で出汁をとり、醤油などで味付けしたそばつゆをつけていただきます。
日本のそばの歴史は古く、1万年ほど前の縄文時代からすでに、そばの栽培が行われていたと言われています。
今では、駅構内の立ち食いそばから高級店まで、日本中いろんな場所でそばが食べられます。日本で気軽に口にできる食べ物のひとつと言ってもよいでしょう。冷たいものや温かいもの、天ぷらを乗せたものなど、そばの種類はさまざま。日本に来たら食べたいそばの魅力をまとめました。
目次:
1.そばの食べ方:音を立てて食べてもいい
2.そばの栄養素とカロリー
3.そばの種類
4.変り種そば&全国ご当地そば
5.関東と関西での味の違い&うどんとそばの違い
6.そばの値段&そばのチェーン店&オススメのそば店
7.そばアレルギーとは&まとめ
そばの食べ方:音を立てて食べてもいい
訪日観光客が日本に来て驚く光景のひとつに、日本人が麺類を食べる際の振る舞いがあります。日本人は麺類を食べる際、ズルズルと音を出して食べるのですが、これが日本以外の国ではマナー違反と考えられることが多いからなのです。日本人が麺をすする理由は、長い麺を箸で食べるためや麺料理の喉越しやつゆの風味を楽むため、といった理由があるようです。
そばも例にもれず、日本人はそばの麺を啜って食べます。日本でそばを食べるときは、日本人のように啜って食べてもよいかもしれません。
そばは大きく分けて、温かいスープに麺が入っているかけそばと、冷たいそばにつゆをつけながら食べるざるそば、器のそばに冷たいつゆがかかった3つのスタイルがあります。それぞれの食べ方を見ていきましょう。
温かいそばの食べ方
かけそばなど温かいスープにそばの麺が入ったものは、お好みでネギや七味などの薬味をかけて食べます。普通、ラーメンにはスープをすくうためのレンゲがついてきますが、そばにはついてこないことがあります。その場合、スープは器に直接、口をつけて飲んでも大丈夫です。れんげが欲しい人はお店の人に言いましょう。
麺は時間がたつと伸びてしまい味が落ちるので、あまり時間をかけずに食べることをオススメします。
ざるそばの食べ方
ざるそばを注文すると、冷たい麺と小さな器に入った冷たいつゆが別々になって運ばれてきます。ざるそばを食べるときは、麺をひと口分箸で取り、それをつゆにつけて食べます。お店によってつゆの濃さが違うので、最初はつけすぎてしょっぱくならないように注意してください。
ざるそばのつゆにも、お好みでネギや七味、わさびなどの薬味を入れて食べましょう。
冷しそば
ざるそば以外にも、冷たいそばもあります。多くは、器の中のそばと具材にあらかじめつゆがかけられています。この場合は箸でつゆとそばをなじませて食べましょう。
薬味とは
薬味とは、そばの味を引き立てる香辛料や野菜のこと。そばの薬味には、一味、七味、わさび、ネギなどがあります。これらを好みでそばにかけて食べます。
詳しくは、「 日本のことば事典「薬味」」の記事をご覧ください。
そば湯とは
そばを食べた後に、ちいさなポットに入ったそば湯が出されることがあります。そば湯とは、そばを茹でた汁のことで、ビタミンB1とB2が豊富。ポリフェノールの一種で抗酸化作用を持つルチンも含まれていて健康によいと言われています。そば湯が出されたら試しに飲んでみましょう。
そば湯自体にはあまり味がありませんので、そのまま飲むのもよいですが、ざるそばやもりそばを注文したときは、冷たいつゆをそば湯で割って飲むのがオススメです。スープのようにつゆの味を楽しめます。
そばの栄養素とカロリー
そばは比較的ヘルシーな食べ物です。
1人前の麺は、だいたい300〜400kcalほど。ビタミンB1、B2をはじめ、ルチン、食物繊維、ミネラル、タンパク質が豊富な一方、脂質は低め。低GI食品でもあるため、ダイエットに向いています。
天ぷらそばやかき揚げそばなど、揚げ物が付いているそばは500kcalを超えることも。ダイエット中の人は、かけそばやざるそば、おたふくそばなど、シンプルなトッピングのものを選ぶとよいでしょう。
そばの種類
そばには、乗せる具材によってさまざまな種類があります。「かけそば」と「ざるそば」「もりそば」他、一部のそば以外は冷たいそばと温かいそばがありますので、好みで選びましょう。
かけ
かけそばとは、ゆでたそば麺に温かいスープをかけたシンプルなそば。薬味のネギが乗っていることもあります。もともとそばは、つゆに麺をつけながら食べるものでした。江戸時代に荷物運び人たちが素早く立ち食いできるように、つゆと麺を一緒にしたのがかけそばの起源と言われています。
盛り/ざる
盛りそばとざるそばは、ゆでたそば麺を冷水で〆め、竹ザルに盛ったそば。別添えの冷たいつゆにつけながらいただきます。現在では海苔のかかったものをざるそば、かかっていないものをもりそばと呼んでいます。
かき揚げ
かき揚げは、小さく切った玉ねぎやエビ、野菜などを丸い形に揚げたもの。かき揚げそばは、かけそばにこのかけ揚げが乗っています。野菜や衣の甘みが感じられるメニューです。
天ぷらそば
エビや野菜の天ぷらと一緒に出されるそば。温かいそばと冷たいそばの両方があります。エビのぷりぷりとした食感が魅力。
おかめ
かまぼこやほうれん草などが入ったかけそばを指します。
きつね
甘く煮付けた油揚げ(豆腐を油で上げた食材)が入ったかけそば。日本では、油揚げが狐の好物とされているため、こう呼ばれています。油揚げの甘さがそばつゆに染みて、ほっと安心する味わいになります。
たぬき
たぬきそばとは、天かす(揚げ玉とも。天ぷらの衣)が入ったかけそばを指します。そばの中でも特に安価なメニューです。
おろし
おろしそばとは、大根おろしを入れた冷たいそば。さっぱりとした味で、主に夏に好まれます。
とろろ(山かけ)
山芋や長芋のすりおろしをかけたそば。温かいそばと冷たいそばの両方があります。ねばっとした食感と、芋の風味がそばによく合います。
山菜
日本の山で採れるゼンマイやタケノコなどの具を入れたそば。温かいそばと冷たいそばの両方があります。素朴な味わいで、山地のそば屋でよく提供されています。
なめこ
ゼラチン質の外皮を持ち、独特の食感が特徴のなめこを入れたそば。つるりとした喉越しが楽しめます。温かいそばと冷たいそばの両方があります。
月見(つきみ)
生卵や半熟卵を入れたそばです。卵が入ることで、濃厚な味になります。海外の方は生卵が苦手な人もいるかもしれませんので注意しましょう。冷たい月見そばはあまりみかけません。
卵とじ
卵をといて流し込みんだそばです。月見そばと違い火が通っています。そばつゆが卵に染み込んでいておいしいです。こちらもあたたかいそばです。
鴨南蛮(かもなんばん)
鴨の肉やネギを入れて調理したかけそば。江戸時代に来日したポルトガル人やオランダ人(南蛮人)が玉ねぎの代わりにネギを好んで食べていたことから、こう呼ばれるようになりました。
鰊(にしん)
かけそばの上に身欠きニシンの甘露煮を載せたそば。ニシンが獲れる北海道や、ニシンの甘露煮を保存食としていた京都でよく食べられてきたそばです。
花巻(はなまき)
一口サイズにちぎった海苔を散らしたかけそば。海苔の風味が食欲をそそります。
カレー
そばのつゆにカレー粉を溶かした温かいそば。日本では、カレーうどんも人気です。
そばがき
そば粉を柔らかく練った食べ物。丸い団子のような形をしています。出汁やわさび塩につけながら、お酒のおつまみとして食べるのが一般的です。甘く煮た小豆と一緒に出されるものは、デザートになります。
そばが麺になる前は、このようにそばがきとして食べられていました。そばがきに対し、麺のそばはそばきりと呼ばれます。
茶そば
そばの麺の種類。抹茶を入れてつくることから、麺自体が鮮やかな緑色をしています。
梅そば
そばの麺の種類。梅の粉を入れてつくることから、麺自体がピンク色をしています。
中華そば(支那そば)
いわゆるラーメンのこと。中国のそばという意味です。そば粉は使われていませんので、厳密にいうと「そば」ではありません。
年越しそば
日本の風習。大晦日(12月31日)に温かいかけそばを食べることを言います。そば麺は細く長いため、長生きできるようにと長寿を願ったという説があります。
詳しくは、「 日本のことば事典「年越しそば」」の記事をご覧ください。
変わり種そば
かけそばやざるそばのような伝統的なそば以外にも、変わったそばの食べ方があります。
そばめし
そばめしとは、焼きそばの麺とご飯を炒めた食べ物。そばではありませんが、近年、じょじょに広まりつつあります。
そば寿司
酢飯の代わりにそばの麺を使った巻き寿司。通常の巻き寿司より、さっぱりと食べられるのが特徴です。
そばの刺身
麺状ではなく、平たい四角形に切ったそばを茹でて水で〆めたもの。醤油とわさびでいただきます。そばの香りを楽しめることから、一部の日本人の間で人気のようです。
そばいなり
酢飯の代わりにそばの麺を使った稲荷。通常の稲荷寿司より、やや低カロリーでさっぱりといただけます。
サラダそば
冷たいそばにレタスやトマトなどをのせ、ドレッシングをかけていただくそば。夏、さっぱりしたものを食べたいときに。
コロッケそば
温かいかけそばに、コロッケを乗せたそば。
ポテざるそば
フライドポテトがセットになったそばで、大阪の阪急そば若菜の定番メニュー。出しがポテトにしみて美味しいと評判ようです。
全国ご当地そば
日本全国にある、その地方独特のそばの食べ方やそば料理について紹介します。
青森/津軽そば
そば麺をつくる際、そば粉に大豆をすりつぶした呉汁(ごじる)を入れたそば。でき上がった生地を半日ほど熟成するのが特徴です。やわらかくてもちもちとした舌触りに。大豆のほんのりとした甘味も楽しめます。
新潟/へぎそば
そば麺に海藻を入れてつくるそば。「へぎ」と呼ばれる器に盛りつけて出されます。
福島県/裁ちそば
福島県檜枝岐村(ひのえまたむら)の郷土料理。普通のそばよりも平たく、太い麺が特徴。麺のコシが強く、食べ応えのあるそばです。
福島県/高遠(たかとお)そば
箸の代わりに一本の長ネギを使う、変わった食べ方をするそばです。つゆも独特で、辛味大根を使ったピリリとした味をしています。もともとは「ネギのように細く長く生きる」という意味合いで、お祝い事の席で食べられていた縁起のよいそばです。
岩手/わんこそば
岩手県花巻市発祥のそばの食べ方。小さなお椀に入ったそばを、何杯もお代わりしながら食べていく、というもの。お客の隣には給仕さんが立ち、お椀が空になるとすぐに次の麺をよそってくれます。
長野/とうじそば
小盛りしたそばをとうじかごと呼ばれる穴の空いたおたまのようなかごに入れ、鍋に入った熱いつゆに浸して湯がいて食べるそば。寒い冬にぴったりの、温かいそばです。
つゆには野菜やきのこが入っていて、栄養たっぷり。
島根/出雲そば
出雲地方で食べられるそば。そばの実を殻ごと石臼で挽いた、香り高い黒っぽい麺が特徴。麺につゆをかけながらいただきます。
山口/瓦そば
熱した瓦の上に茶そばと甘辛く煮た牛肉、錦糸卵、ネギ、紅葉おろし、海苔を載せて提供されるそば。温かいめんつゆにつけながらいただきます。
詳しくは、「 瓦の上で焼く!?一風変わった山口の絶品名物グルメ「瓦そば」」の記事をご覧ください。
長崎/対州(たいしゅう)そば
長崎県の離島、対馬で生産されるそばの実を使ったそば。一般のそばよりも強い風味と味わいが楽しめます。
鹿児島/薩摩そば
そば粉にじねんじょ(自然薯・山芋)をつなぎにしてつくったそば。トッピングとして鹿児島名産の魚のすり身揚げ、薩摩揚げをのせたりします。
沖縄/沖縄そば
沖縄県発祥の麺料理。そば粉は使わず、小麦粉で麺をつくります。沖縄の郷土料理である豚の角煮ラフテーをのせるのが一般的です。
詳しくは、「 海を眺めなら舌鼓!もずく専門店「くんなとぅ」の絶品沖縄そば」の記事をご覧ください。
関東と関西での味の違い
関東地方と関西地方では、そばやうどんに使われるつゆ(醤油と出汁をあわせた、そばやうどんの調味料となるもの)のタイプが異なります。
関東は鰹節(かつおぶし:魚のカツオに熱を加えて乾燥させたもの)の出汁が中心で、濃口(こいくち:味が濃いこと)醤油やみりんを使用するため、つゆの色が黒ずんでいて味も濃い目です。
対して関西は昆布の出汁を使用し、薄口(うすくち:味が薄めのこと)醤油で仕上げるため色は薄く、出汁の味が効いたつゆになっています。
関東と関西を両方訪れる人は、そばやうどんの味の違いを楽しんでみてください。
詳しくは、「 いまさら聞けない、そばとうどんの違い・種類についての豆知識」の記事をご覧ください。
そばとうどんの違い
そばとは、そば粉を練ったもの。うどんは小麦粉を練ったもので、そばより太め、もっちりとした食感をしています。
どちらも温かいつゆと一緒に食べたり、冷たいつゆにつけながら食べます。このため、そばを提供する大衆店では、うどんも提供していることもあります。詳しくは、「 日本の麺類と言えばこれ!そば・うどんの違いと食べ方」の記事をご覧ください。
そばの値段
そばの値段は、お店によって、またトッピングの内容によっても変わってきます。
低価格のそばチェーンでは、1杯300円〜600円程度。お蕎麦の専門店では600円〜1,000円程度。高級店になると1,000円〜2,000円ほどのことが多いようです。
大衆的なお店でのだいたいの目安は、こちら。
かけそば:300〜800円
ざるそば:300~800円
天ぷらそば:500〜1,000円
1,000円あれば、大抵のそばは食べられると思ってよいでしょう。
そばチェーン
日本には、富士そば、ゆで太郎、小諸そば(こもろそば)、箱根そばといった低価格のそばチェーンがあります。
どの店もかけそばが300円〜と良心的なお値段。日本旅行中に小腹が減ったときや、食費を抑えたいときに活用してみてください。
オススメのそば店
全国のオススメのそば店をまとめました。
福田屋(渋谷)
東京の渋谷で本格的なそばを食べたいと思ったら、50年の歴史を持つ福田屋がオススメ。渋谷を訪れる老若男女が集う福田屋。メニューにはうどんもあります。
詳しくは、「 老若男女が集う渋谷「福田屋」でお蕎麦をすする」の記事をご覧ください。
松玄 恵比寿(恵比寿)
東京の恵比寿でそばやすき焼き、天ぷらが楽しめるお店。オススメはウニの上品な味を堪能できるウニそば。英語のメニューもあります。
詳しくは、「 贅沢素材とこだわりのお料理 おそばと日本料理のお店「松玄 恵比寿」」の記事をご覧ください。
並木薮蕎麦(浅草)
浅草観光の際に立ち寄りたいのが、雷門近くの並木藪蕎麦。1913年創業、東京でも有数の老舗です。ここでは、そばの風味がふんわりと香る美味しいそばをいただけます。
詳しくは、「 浅草「並木藪蕎麦」〜100年愛され続ける日本そばの名店」の記事をご覧ください。
高橋家
世界遺産の高尾山で170年以上「とろろ蕎麦」を旅人に振舞ってきた高橋家。山芋や長芋などのイモ類をすりおろした「とろろ」を蕎麦の上にかけて食べるのがとろろそばは、滋養強壮(体を元気にする)効果があると考えられてきました。
詳しくは、「 高尾山登山の前に! 「高橋家」で名物"とろろ蕎麦"を食べる」の記事をご覧ください。
そばアレルギーとは
ビタミンB2や食物繊維が豊富なヘルシーフードであるそば。稀に、蕎麦粉に含まれるタンパク質がアレルギーを引き起こすことがあります。
日本のようにそばを食べる習慣のない国では、そばアレルギーのことはあまり知られていません。そのため、日本で初めてそばを食べて、体調不良を訴える訪日観光客も少なくないのです。
そばアレルギーが起きると、食べてから10分以内に、
・口の中が痛い
・口周りが腫れる
・喉が痒い
などの症状が現れます。さらに時間が経つと、腹痛や吐き気、下痢といった症状が見られ、酷い場合はアナフィラキシーショックを起こすことも。
そばを食べてすぐ口回りに異常を感じたら、可能であればすべて吐きだしてしまうか、大量の水を飲んで様子をみましょう。
詳しくは、「 日本のことば事典「そばアレルギー」」の記事をご覧ください。
そばを楽しむために
庶民の食べ物として古くから愛されてきたそばは、好きな薬味をかけてズズッと豪快に食べていいのが魅力。
懐石料理のような厳格なマナーはないので、訪日旅行者でも楽しく食べられるでしょう。