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歴史や自然を堪能するなら!長野県・松本ですべき9のこと
都心から約2時間40分で行ける、歴史と芸術、文化遺産の街、長野県松本市をご紹介します。日本に2城しかない五重六階の城、松本城の存在感に圧倒されながら、史跡や博物館を観賞してみましょう。松本は長野県内の主要観光地への拠点としてもオススメの都市です。
歴史、自然、文化が詰まった長野県松本市
国宝・松本城の城下町として古くから栄えた長野県松本市。当時のような街並みが残る通り、日本の伝統美術にふれられる美術館、その土地に根付いた郷土料理など、街の歴史や文化を今も感じられる人気の観光地です。
さらに郊外へ行くと、上高地や白馬村などトレッキングやスノーアクティビティができる大自然も広がっており、松本を拠点に旅のプランを立てるのもオススメ。東京・新宿駅からは特急で2時間40分程度、大阪や京都からも新幹線や特急を使うと3時間ほどで到着します。
本記事では松本に訪れたらやりたいことをピックアップしました。
目次
- 1.国宝・松本城で歴史を学ぶ
- 2.「松本市美術館」でフォトジェニックな草間彌生コレクションを鑑賞
- 3.「日本浮世絵博物館」で日本の伝統美術にふれる
- 4.趣のある街並みを散策する
- 5. 日本最古の小学校「旧開智学校校舎」を見学
- 6.「松本市時計博物館」で時の流れに耳をすます
- 7.2つの神社を巡る
- 8.郷土料理や地ビールを堪能する
- 9.松本を拠点に郊外を旅する
- 松本へのアクセス
1.国宝・松本城で歴史を学ぶ
松本城は、1500年代の戦国時代に、軍事指揮官の住まいとして建てられました。外観は五重に見える造りですが、中は六階構造。この建築様式は日本で松本城と姫路城の2城だけ。黒漆の外壁も美しい、貴重な国宝です。
中に入ると、最大斜度が約61度の階段や、重厚感ある柱が印象的です。築城に使われた大工道具や当時の武器だった火縄銃なども展示されています。最上階の天守閣から見える、松本市街や北アルプス景色も見事(内覧:大人610円、小・中学生:300円、小学生未満無料)。
夜の松本城は通年でライトアップされ、春は桜、夏は伝統芸能、冬は氷の彫刻など四季を感じるイベントに彩られます。JR松本駅から松本周遊バス・タウンスニーカーで約10分です。
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2.「松本市美術館」でフォトジェニックな草間彌生コレクションを鑑賞
草間彌生《幻の華》2002 年 Picture courtesy of 松本市美術館
松本市にゆかりあるアーティストの作品が常設展示されている松本市美術館。屋外には松本市生まれの著名な前衛アーティスト・草間彌生の巨大なアート作品『幻の華』が飾られています。展示室には、『愛はとこしえ』シリーズなどの草間彌生コレクションも充実。
同じく松本市生まれの彫刻家・細川宗英(ほそかわむねひで)、書家・上條信山(かみじょうしんざん)ら、幅広いジャンルの作品をコレクションしています。JR松本駅からは徒歩約12分。市内周遊バス・タウンスニーカー東コースで約14分です。
※2021年度に大規模改修のため、1年間休館を予定しています。
3. 「日本浮世絵博物館」で日本の伝統美術にふれる
Picture courtesy of 日本浮世絵博物館
松本市の紙問屋だった酒井家が、浮世絵収集をしていたことから始まった日本浮世絵博物館。貴重なコレクションを残すため、1982年に設立されました。現在は作品の研究や展示を行っています。
浮世絵とは、江戸時代(1603~1868年)に生まれた日本画の種類で、当時の享楽的な浮き世の風景、人物、生活などが描かれたものです。
ショップの様子 Picture courtesy of 日本浮世絵博物館
画材も墨の黒色だけだった時代に、紅花(べにばな)や藍(あい)など植物系染料を使ったカラフルな絵が登場。絵画のほか、版画で大量生産されたものまであり、庶民がアートを楽しみ始めた時代とも言えます。
日本浮世絵博物館には、東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)、歌川広重(うたがわひろしげ)、葛飾北斎(かつしかほくさい)など、世界的にも評価の高い浮世絵師の作品が数多く所蔵されています。
4. 趣のある街並みを散策する
中町通り
松本駅から徒歩約6分のところにある、中町通りを歩きましょう。400年の歴史ある城下町だった松本市は、酒や着物などの商店で賑わっていました。幾度の火災経験から、土壁に漆喰などを塗った、耐火性のあるなまこ壁の家が建てられ、今も風情ある街並みが守られています。
信州の地酒入り酒まんじゅうが楽しめる「御菓子処 藤むら」、小麦粉やそば粉に旬の野菜や果物を混ぜて焼く郷土料理・うす焼きがテイクアウトできる「うす焼きカフェ 豆まめ」、個性的な和雑貨を見るのも楽しい「衣の館 三和 〈SANWA〉」など、松本ならではの伝統的なお店が軒を連ねてます。
縄手通り
松本駅から松本城の間に位置する縄手通りも、江戸時代の街並みが再現された商店街になっています。1879年には4柱の神様を祀る「四柱神社(よはしらじんじゃ)」が建てられ、縄手通りはその参道としても賑わいを見せます。
信州みそを使った手焼きせんべいがおいしい「手焼きせんべい 雷神堂 松本ナワテ通り店」、昔ながらの焼き方で作るたい焼き店「たい焼き ふるさと」、日常が少し楽しくなる雑貨をテーマにしたセレクトショップ「TOCA by lifart…」など、40近いお店が並んでいます。
5. 日本最古の小学校「旧開智学校校舎」を見学
1876年に建てられた開智学校は、現在日本にある校舎の中で一番古い小学校です。エントランスに突き出た屋根のある部分、車寄せの装飾が特徴的で、お寺のような形の屋根に洋風の彫刻が施されています。
時報などを伝える鼓楼(ころう)は八角形のデザイン。当時、西洋を真似て流行した擬洋風(ぎようふう)建築というスタイルを見学できるのが旧開智学校校舎です。内覧すると、かつて授業で使われていた机や椅子、ノートとして使われていたミニサイズの黒板などを見ることができます。
6. 「松本市時計博物館」で時の流れに耳をすます
松本駅から徒歩約10分、古時計のコレクションが珍しい松本市時計博物館があります。日本一大きな振り子時計が外観に際立ち、訪れた人を出迎えてくれます。
展示されている時計は、古時計の技術者でコレクターの本田親蔵(ほんだちかぞう)が松本市へ寄贈したものがメイン。ほか市民から贈られた時計もあります。時計が稼働している状態での展示を心掛けているため、中に入ると秒針音や時報の音に包まれます。
7. 2つの神社を巡る
四柱神社
縄手通りに面する四柱神社(よはしらじんじゃ)は1879年に建てられ、火災を経て1924年に再建された神社です。名前の通り、4柱の神様が祀られています。
祀られている天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)は、産霊神(むすびのかみ:この世のすべてを産みだす力を備えた神)を統一する神様。高皇産霊神(たかみむすびのかみ)と神皇産霊神(かみむすびのかみ)は、実をむすぶ神様。天照大神(あまてらすおおみかみ)は太陽神とも言われ、日本を代表する大神様です。
敷地内には「縁結びの松」と呼ばれる、1つの根から2本の松が伸びる木があり、縁結びのパワースポットとして多くの参拝者が訪れています。新緑や紅葉など、木々と神社の趣が写真撮影にもぴったりの場所です。
天神 深志神社
松本駅から徒歩約15分のところにある天神 深志神社(ふかしじんじゃ)は、「深い志」の意味をもつ神社。かつて長野県の守護職・小笠原氏の家臣が、1504年に松本城の前身、深志城を築城した際に、深志神社を城の守り神としたという経緯があります。
7月24、25日の2日間に渡り開かれる天神祭は、飾り付けされた車輪付きの出し物、山車(だし)が出て町中が賑わいます。この山車を地元では舞台と呼び、装飾された屋根や彫刻、人形などの芸術を見せ合うのもお祭りの見どころです。
8. 郷土料理や地ビールを堪能する
松本を旅するなら、食べておきたいのが信州そばとおやきです。山が多い長野県だからこそ、米よりもそばや小麦が育てやすかったことで、郷土料理が生まれた歴史があります。
中町通りや駅前など、街中にはたくさんのそば屋があり、色が濃く、香り高い信州そばを食べることができます。人気店は松本駅から徒歩10分の場所にあるそばと日本酒の専門店「そば処 浅田」。
無くなり次第閉店してしまうので、必ず食べたい方はオープン時間の11:30より少し前に行っておくとよいでしょう。
おやつ代わりにもなるのが、おやき。小麦粉で旬の野菜やあんなどを包んで焼いた長野名物です。松本駅から徒歩約14分のところにあるおやき専門店「鷹匠庵」(たかじょうあん)では、自家製天然酵母を使った皮に、具材の味付けも自家製という10種類のおやきが味わえます。
もうひとつ、松本の郷土料理なら山賊焼きがあります。ショウガやニンニクなどの薬味が入った醤油ベースのタレに鶏肉一枚を漬け込み、片栗粉をつけて揚げた大きなフライドチキンです。
松本駅から徒歩約15分、松本城近くの居酒屋「一歩」では、味噌だれの濃い味つけに二度揚げされたパリパリとした皮の巨大な山賊焼きが堪能できます。居酒屋のほか、一部のそば屋でも食べることができます。
さらに旅の途中で一杯! 松本産クラフトビールもオススメです。中町通りと信毎(しんまい)メディアガーデン3Fにお店を構える「松本ブルワリー タップルーム中町店」では、北アルプスのきれいな水を使用した個性的なビールが楽しめます。
フルーティーなペールエール、苦み重視のIPAなど、ラインナップは6種類で、地元の飲食店やホテルなど、取扱店も拡大中です!
9. 松本を拠点に郊外を旅する
安曇野・大王わさび農場
松本市に隣接する安曇野市(あづみのし)にある大王わさび農場(だいおうわさびのうじょう)は、水路が張り巡らされ、わさび畑が広がる農場です。畑の面積は日本一というこの地は、100年前は何もない原野だったとか。
敷地内にある百年記念館では、開拓からの歴史を学ぶことができます。また、黒澤明(くろさわあきら)監督の映画『夢』のロケ地になった水車小屋のある水辺、わさび丸掘り加工場(見学は4~11月)、展望台、神社、ボートもあり、散策にぴったりです。
ソフトクリームやコロッケ、カレーなどのわさびを使ったフードメニューも楽しめます。わさびの漬物作りも体験できます。松本駅からは大糸線で穂高(ほたか)駅まで27分程。穂高駅からは安曇野周遊バスやタクシーで約10分です。
上高地
トレッキングに一押しの上高地(かみこうち)を歩いてみましょう。松本駅のお城口側にあるバスターミナルから、路線バスの利用が乗り換えなしで便利です。路線バスで約1時間30分、上高地エリアの中心にあるバスターミナルへ到着。一帯は天然記念物に指定されるなど、大切な自然を次世代へ繋いでいます。
1時間程度のコースなら、梓川(あずさがわ)沿いの散策がオススメ。標高3,000メートルクラスの山々、穂高連峰(ほたかれんぽう)を眺めながら、英国人宣教師のウォルター・ウェストンのレリーフがある所まで行ってみましょう。ウェストン氏は、日本の名峰を制覇した登山家でもあります。
田代橋(たしろばし)で折り返す下流には、標高2,455メートルの焼岳(やけだけ)を眺めることができます。
立山黒部アルペンルート
Photo by Pixta
立山黒部アルペンルートは、富山県「立山(たてやま)駅」と長野県「扇沢(おうぎざわ)駅」の間で、数々の景勝地を楽しむことができる山岳ルートです。車では入れず、6つの乗り物を乗り継いで進みます。
松本駅から大糸(おおいと)線で信濃大町(しなのおおまち)駅まで約55分。信濃大町駅からはバスで扇沢駅まで約40分です。ルートを長野県側から進むと、黒部ダム行きの電気バスから始まります。
日本一高い黒部ダムを観賞したら、ケーブルカーとロープウェイ、トロリーバスで立山室堂(たてやまむろどう)(標高2,450メートル)へ。積雪量が多い立山室堂近くの大谷(おおたに)に、除雪してできる高さ20メートルの雪の壁が出現します。雪壁を歩いて触れる4月下旬から6月上旬に、その絶景をお楽しみください。
夏から秋も、最高のロケーションに恵まれます。乗り継ぎの途中で折り返し、短時間の旅もいいでしょう。
乗鞍高原(のりくらこうげん)
北アルプスと呼ばれる飛騨山脈(ひださんみゃく)の、南側にある乗鞍高原。積雪シーズンが長く、スキーやスノーボードのほか、いろいろなスノーアクティビティが楽しめます。
気軽にできるのが、雪が積もった場所を進めるスノーシュー。レンタルして、半日散策などを体験してみましょう。
上級者向けでは、整備されていない雪山のパウダースキーを楽しむバックカントリーもできます。松本駅からは、アルピコ交通上高地線で約30分、新島々(しんしましま)駅へ。新島々駅からは路線バスを利用し、約50分で乗鞍高原到着です。
白馬村
Photo by Pixta
北アルプスの北側にあるのが、雪遊びの定番エリア、白馬村(はくばむら)です。スキー場で見かけるスノーモービルは簡単にトライできるアクティビティのひとつ。ツアーもあるので要チェックです。ゴムボートで雪山を滑走するスノーラフティングは最高にスリリング!
松本駅からは、大糸線で信濃大町駅へ。信濃大町駅から南小谷(みなみおたり)行きに乗り換え、白馬駅まで約1時間45分です。白馬駅からは、各スキー場をつなぐシャトルバスが便利です。
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松本へのアクセス
新宿駅から
東京から松本への行き方は、新宿駅からの場合、特急あずさで約2時間40分前後(片道6,620円)です。高速バスの場合は、アルピコ交通か京王バスを利用します。新宿駅南口すぐのバスタ新宿から出発して、約3時間20分(片道3,800円)で松本バスターミナルに到着します。
東京駅から
東京駅からは、約3時間(片道6620円~)で行ける松本直通の特急あずさは16時台の1本だけ。そのため、長野駅まで北陸新幹線を利用し約1時間40分前後(片道7,810円~)、長野駅から松本駅まで特急ワイドビューしなので50分(片道2,900円)というルートを選ぶ方が、旅のプランが立てやすいでしょう。
まとめ
長野県の大地が生んだ歴史、文化、温かい人々、そんな松本に魅かれる日本人も多いものです。さらに松本からちょっと足を伸ばして行ける、郊外の観光地もご紹介しました。大自然に包まれる体験は、日本での旅をさらに盛り上げてくれることでしょう。
旅関連を中心に、いろいろなところで執筆しています。娘たちとお出かけしたい場所を探す日々。