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福岡「太宰府天満宮」完全ガイド 〜参拝ルート、注目スポットや楽しみ方〜
九州・福岡を代表する神社「太宰府天満宮」。境内は落ち着いた雰囲気ながら、参道にはおみやげ店も並び、常に多くの人で賑わいを見せます。梅の名所としても知られ、四季折々の表情を見せてくれる自然も魅力的。そんな太宰府の見所、楽しみ方をご紹介します。
福岡を代表する神社・太宰府天満宮
Picture courtesy of 太宰府天満宮
おみやげ店が立ち並ぶ参道を抜けると、橋のかかる美しい池があります。その先に現れるのは、華麗な建築の本殿。落ち着いた雰囲気ながら華やかさのある神社には、常に多くの人が訪れます。梅の名所としても知られ、春先には数多くの梅の花が可憐に咲きます。
今回は、そんな魅力あふれる神社・太宰府天満宮の見所、楽しみ方を詳しくご紹介しましょう。
太宰府は、何の神様?
菅原道真 Picture courtesy of 太宰府天満宮
太宰府天満宮に祀られているのは、「学問の神様」と呼ばれる菅原道真(すがわらのみちざね)。道真は800〜900年頃に活躍した、日本中の人々から信仰を集める学者・政治家、文人です。
彼は幼少期より学問の才能を発揮し、当時の学者の最高位である文章博士(もんじょうはかせ)になるほどでした。しかし、無実の罪で京都から太宰府へ送られてしまいます。そしてこの地で生涯を終えました。
死後、道真は「学問の神様」として厚く信仰され、全国には彼を祭神とする「天満宮」が約12,000社あります。太宰府天満宮は、そのすべてを取りまとめる総本宮。現在も試験合格や成績アップを願うたくさんの学生たちが、太宰府天満宮を訪れています。
では、実際に太宰府天満宮の中を歩いてみましょう! ここでは参拝時に注目したい3つのスポットをご紹介します。
1.牛の像に出会う
Picture courtesy of 太宰府天満宮
太宰府へ続く参道を歩いていき、境内の入口にさしかかると、案内所があります。まずはここで境内の地図を手に入れましょう。案内所の奥には、可愛らしい牛の銅像が。実は、太宰府天満宮の中には約10体もの牛の像があります。
なぜ、「牛」なのでしょうか? それには次のような伝説が関わっています。
菅原道真が亡くなり、その亡骸を弟子が牛車に乗せて運んでいると、牛が動かなくなりました。「これは道真の意思に違いない」と弟子は感じ、この地に亡骸を埋めたと言います。そして後世になり、道真を慕う人たちがその墓所の上に神社(太宰府天満宮)を建てたのです。
このような言い伝えから、境内には「神の牛」という意味の牛像「御神牛(ごしんぎゅう)」が設置されています。この像の頭を撫でると、頭がよくなる、知恵を授かると言われているので、ぜひ見つけて触ってみてはいかがでしょうか?
2.橋を渡り、身を清める
Picture courtesy of 太宰府天満宮
太宰府の境内に入ると橋のかかった池があります。この池は上空から見ると「心」という漢字の形に見えるという「心字池(しんじいけ)」。
池には本殿へと続く橋が3本かかり、それぞれ「過去」「現在」「未来」を表しています。この橋を渡ることにより、心と身体が清められた状態で神様の前に進めると言われています。
3本の橋を渡り、鳥居をくぐると、右側に手を洗う場所「手水舎」(ちょうずや)が見えます。太宰府天満宮に限らず、日本で神社をお参りする前には、身体の汚れを落とす、身を清める習慣があります。こちらで手を清めて、本殿へ向かいましょう。
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3.楼門・本殿の壮麗な建築に触れる
池側から見た楼門 Picture courtesy of 太宰府天満宮
本殿の手前にある朱塗りの門は、「楼門」(ろうもん)と呼ばれます。太宰府の門は、表と裏(池の側と本殿側)で形状が異なる、珍しい門。池側から見ると屋根が2つありますが、本殿側から見ると1つだけ。ぜひ、門の形にも注目しながら歩いてみてください。
本殿 Picture courtesy of 太宰府天満宮
楼門をくぐれば、いよいよ本殿です。本殿は、周囲を回廊に囲まれた特別な場所に建てられています。
最初に本殿が建てられたのは919年。その後数度の焼失を経て、1591年に現在の本殿ができました。400年以上の時間が経過しても美しさと力強さを保つ本殿は、現在国の重要文化財に指定されています。
太宰府天満宮の境内には、ほかに、歴史や芸術に触れられる施設もあります。菅原道真にまつわる宝物など貴重な資料を約5万点収蔵・展示する「宝物殿」や、徒歩5分の距離にある「九州国立博物館」です。九州国立博物館は日本とアジア、ヨーロッパの交流史に関する常設展示のほか、美術の特別展やイベントも開催されています。
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2〜3月は梅の花を楽しもう
Picture courtesy of 太宰府天満宮
もし2、3月頃に太宰府天満宮を訪れるなら、あなたはラッキー! 太宰府天満宮は梅の花の名所として知られており、1月下旬〜3月下旬が梅のシーズンなのです。
菅原道真は梅を愛しており、彼が太宰府に左遷されたとき、道真が愛でていた梅が一夜のうちに京都から飛来してきたという伝説があります。そのため、現在もその梅と伝えられる木が「飛梅」(とびうめ)として境内に植えられています。
そのほか太宰府天満宮内には約200種、約6,000本もの梅が植えられており、梅の季節には、かぐわしい梅の香りと可憐な花が訪れる人を楽しませます。
梅の花が咲くのは桜より少し早い、やや寒さの残る季節。観賞に行く際はあたたかい服装で向かいましょう。梅のほかにも、3月下旬〜4月上旬には桜、11月中旬〜12月上旬には紅葉が広がり、四季折々で異なる自然の表情を楽しむことができます。
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参道で梅ヶ枝餅を食べよう
太宰府にお参りに来たらぜひ食べたいのが、名物の梅ヶ枝餅(うめがえもち)。
「梅」という名前がついていますが、梅干しが入っているわけではありません。この餅も、道真に関係しています。この地に左遷され、苦しい生活を強いられていた道真のために、老婆が梅の枝に餅を巻いて差し入れたと言われています。この話から、太宰府では梅ヶ枝餅が名物となりました。
餅の中にあんこが入ったシンプルなお菓子。外はパリパリ、中はもっちりとした素朴な味わいで、何個でも食べられそうです。
夏祭りの参道 Picture courtesy of 太宰府市
太宰府天満宮へ行くまでには、参道を歩いていきます。200メートルにわたる参道の両脇にはおみやげ店やカフェなどが連なり、梅ヶ枝餅が食べられるお店も多数あります。参道には、著名な建築家・隈研吾(くま けんご)が設計した、斬新なデザインのスターバックスも。参道で食べ歩きや、おみやげ探しをするのもいいですね。
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太宰府へのアクセス
太宰府へは、博多から行く人がもっとも多いでしょう。博多から太宰府天満宮の最寄り駅「太宰府駅」までは直通バスが出ています。博多バスターミナル(博多駅徒歩5分)から約45分、料金は600円。
電車で行く場合は、博多・天神エリアにある「西鉄福岡駅」から大牟田線(特急・急行)に乗り15分、「二日市(ふつかいち)駅」で太宰府線に乗り換え、約5分で太宰府駅に到着します(400円)。
太宰府を楽しもう
神社やおみやげだけでなく、季節ごとの自然も楽しめる魅力的な観光スポット、太宰府天満宮。九州や福岡に来る際は、ぜひ少し足を伸ばしてお参りしてみてください。
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元記事執筆:Ai Yoneda
本記事は、2015年10月28日に公開された記事をリライトしたものです。