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日本の寺・神社で会える!狐、牛、猿など神聖な動物たち
日本の寺や神社では、しばしば動物の像が象徴的に置かれているのを見かけます。本記事では狛犬、狐といったポピュラーなものから、蛇など少し馴染みのない動物まで、さまざまな動物とその意味合いを解説。あわせてその動物たちが祀られている神社・寺もご紹介します。
神社・寺に動物がいるのはなぜ?
日本には愛らしい野生動物がたくさん棲んでいます。その中には、何百年にもわたって日本人の心を深くとらえ続け、今や日本人の考え方を象徴しているものや、神社や寺に祀られる「神様の使い」として、単なる動物を超えた存在になっているものもいます。
神社を守る存在「狛犬」
「狛犬好きはぜひ立ち寄ってほしい長崎県「鎮西大社諏訪神社」」より
狛犬(こまいぬ)とは、日本の多くの神社の入口脇に置かれている、ライオンや犬に似た石像のことです。彼らは神社を守る存在であり、またその神社に祀られている神さまの使いでもあります。そのため神社によって異なった姿をしています。
狛犬の起源には諸説あり、中国から伝わったという説もあれば、神話の生き物を象徴しているとする説もあります。いずれしても神社にお参りした際には、勇敢にも愛らしくも見える狛犬たちをつい眺めずにはいられません。
しかし、神社には必ず狛犬がいるというわけでもなく、うさぎや猿、あるいはオオカミの像が置かれていることもあります。現在日本で野生のオオカミは絶滅してしまいましたが、過去には各地に生息していたことが分かっています。
東京近辺でオオカミのいる神社にお参りしたい方は、埼玉県秩父市の三峯神社、あるいは東京都の御岳山(みたけやま)近くにある武蔵御嶽神社がオススメです。
聖なる使い「狐」
京都伏見稲荷の守り神がお土産に!キツネグッズを見てみようより
狐は、穀物・農業の神である稲荷神(いなりしん)の使いとされています。稲荷神と狐の結びつきがあまりにも強いため、神社の境内にいる狐たちも稲荷と呼ばれるようになりました。
稲荷神社は日本全国にあります。ほとんどの狐の石像は入口に2体置かれているスタイルですが、神奈川県川崎市の武蔵小杉にある京濱(けいひん)伏見稲荷神社のように100体以上も置かれている神社もあります。
「赤い鳥居と狐が導く神秘の泉!東京・品川「阿那稲荷神社」」より
狐は日本の宗教や民間伝承では重要な役割を果たしています。神社名に「稲荷」とついていれば、狐が守り手であることを意味しています。京都の伏見稲荷大社は、全国に3万あると言われる稲荷神社の総本宮(おおもとの神社)で、もっとも有名。
また東京なら王子や、ショッピング街として有名な銀座の豊岩稲荷神社などで神社の「狐」を見ることができます。
学問の神さまと「牛」
牛は鈍感そうで、あまり賢くないと思われる方もいるかもしれませんが、実は知能が高く、日本では学問の神である天神さまと結びつけられているほどです。
京都の北野天満宮では実物大から小さなものに至るまで、何頭もの牛の像が置かれています。言い伝えでは、菅原道真(すがわらのみちざね ※1)が京都から追放された際には牛が泣いたとされています。北野天満宮のことをさらに詳しく知りたい方は学問の神様にお祈り!京都「北野天満宮」を散策をお読みください。
※1:菅原道真(845~903)…… 平安時代の貴族、学者、政治家。北野天満宮は「学問の神」として彼を祀っている。
弁財天の使い「白蛇」
「世界でもココだけ!山口県岩国市で天然記念物シロヘビと出会う」より
弁財天(べんざいてん)とは、芸術や福を司る仏教の女神で、七福神の一人でもあります。もともとは水や流れるものの女神とされ、そのために蛇、特に白い大蛇が弁財天の守り手、または使者としてイメージされることとなりました。
山口県岩国市には岩国白蛇神社(しろへびじんじゃ)という神社があり、白蛇を祀っています。近くには生きた白蛇を展示している資料館もあり、そののびのびと暮らす姿を眺めることもできます。
家族の幸福のシンボル「猿」
「東京都心で猿に出会える?夫婦の猿が願いを叶える「日枝神社」」より
日枝(ひえ)神社は東京都の永田町にあります。永田町はビジネスや政治の中心地ですが、日枝神社は子孫繁栄や安産のご利益がある神社として有名です。日本猿は多産で、子育てにも長けているので、日本人が猿を育児の象徴として考えるようになったのもうなずけます。
子供を授かりたいと思っている方、あるいは猿が好きな方は日枝神社にお参りして、お守りを購入してはいかがでしょうか。日枝神社とそこで出会える猿について詳しく知りたい方は「東京都心で猿に出会える?夫婦の猿が願いを叶える「日枝神社」」をご覧ください。
「干支」12の動物たち
干支は、古代中国から日本に伝わった、時間や方位、角度、物事の順序などを表す数詞。12種類の動物が当てはめられています。
年ごとにも動物が当てはめられています。日本では、年末になると「翌年の干支の動物」が話題となり、年初めに出す手紙「年賀状」に、その動物のイラストなどを書きます。
2018年は戌(いぬ)年です。そのほかの動物は下記の通りです。
子(ね):ねずみ
丑(うし):牛
寅(とら):虎
卯(う):うさぎ
辰(たつ):龍
巳(み):蛇
午(うま):馬
未(ひつじ):羊
申(さる):猿
酉(とり):にわとり
戌(いぬ):犬
亥(い):いのしし
干支に関して詳しく知りたい方は日本のことば事典「干支(えと)・十二支(じゅうにし)」をご覧ください。
人気者の「招き猫」
招き猫は文字どおり、手招きしている猫のことですが、海外でも飲食店などで幸運のシンボルとして見かけます。右の手を上げていれば金運を招き、左の手ならばお客さん。片手を上げてお金やお客さんを呼び込む招き猫は、猫好きにとってたまらない存在です。
さまざまな大きさや形の招き猫に囲まれたい、という方は東京都世田谷区にある豪徳寺にお参りしましょう。
ここは「招き猫発祥の地」ともいわれ、写真のように招き猫にあふれています。かつて大名がこの寺で猫に導かれ、雷雨を逃れたという言い伝えがあります。
豪徳寺については猫好き必見!招き猫だらけのお寺、世田谷「豪徳寺」をご参照ください。
寺や神社で動物を見つけよう
日本の歴史や宗教に興味のある方、あるいは単に動物好きの方であっても、寺や神社にお参りすれば何世代にもわたっての日本人に親しまれながら崇められてきた動物たちに出会うことができます。ご自分の一番好きな動物を探してみるのも楽しいかもしれませんね。
※本記事は英語版の記事を翻訳・再編集したものです。
Writer, translator, designer, weirdo.