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神戸観光で外せない!時代を超えて愛される「神戸にしむら珈琲店」の魅力
神戸に住む人々に長く愛されてきた珈琲店・神戸「にしむら珈琲店」について詳しくご紹介。妥協を許さない珈琲の味、ドイツ風の本店や内装、おいしいケーキや軽食、貴賓室のような北野店など、魅力の数々をお伝えします。
何世代にもわたり神戸の人に愛される珈琲店
第二次世界大戦後間もない1948年。空襲で焼け野原になった神戸・北野の街角に小さな珈琲店がオープンしました。わずか3つのテーブルから始まった「神戸にしむら珈琲店」は、2018年現在、神戸市内に7店舗と1工房、市外にも3店舗をもつ、神戸を代表する珈琲店です。
「手間暇をかけておいしいものをお客様に提供したい」という、今は亡き創業者・川瀬喜代子(かわせきよこ)さんの志を守り続け、人々から愛されるお店となった温もりのある場所。
「神戸に暮らす人々が愛して止まない」そして「観光客が必ず足を運ぶ」と言われる「神戸にしむら珈琲店」。
今回は、特にドイツ風の建物が美しい中山手(なかやまて)本店と、会員制の喫茶店という歴史をもつ北野坂にしむら珈琲店をご紹介します。
1.レトロで趣のある外観の中山手本店
写真の一番左の建物が、創業の地に建つ「中山手本店」です。ドイツ風木組みの外観は、大通りでも一際目を引く存在。
赤地に白で描かれた「NISHIMURA'S COFFEE」の文字と、建物入り口にある大きなコーヒーミルが目印です。左手の売店では持ち帰り用のコーヒー豆も購入可能。
玄関横には、日本らしい食品サンプルを使った見本メニューがあります。まるで本物みたいでしょう?
店内でお気に入りの場所をみつけよう!
建物同様、伝統と格式を感じさせるドイツ風の店内。喫茶エリアは、1Fから3Fまであります。お気に入りの場所を探してみましょう。
写真は2Fの様子。喫煙エリアは1Fの右側となります。
3Fは温かみのある煉瓦の壁。白い木枠の窓からは柔らかな光が差し込み、おいしいコーヒーと共に贅沢な時間が過ぎていきます。
店内のあちらこちらには、珍しいミルなど、珈琲にまつわるさまざまな品物が飾られ、まるで小さなミュージアムを訪ねたような気分です。
自家焙煎で作られる、こだわりの一杯
喫茶店やカフェではなく「珈琲店」という名前が示すとおり、コーヒーへの情熱は果てしなく、世界各地の厳選された格付け豆が使用されています。自前の焙煎室で、少量ずつ焙煎しています。
抽出に使用される水は、灘の日本酒にも使われる銘水「宮水(みやみず)」。適度な硬度を有する宮水を使うことで、まろやかな味わいが生まれるそうです。
スイーツや軽食メニューも楽しんで!
軽食のオススメメニューのひとつ「カナディアンセット」(税込1,050円)は、ベーコンエッグのサンドイッチとサラダ、コーヒーのセット。パンは、自社のパン工房から毎日焼きたてが届きます。
スイーツは、系列のスイーツ店「セセシオン」のケーキを楽しむことができます。チーズケーキ「ケーゼクーヘン」が人気とのこと。
中国や韓国から訪れる観光客の方も多く、ブログなどで紹介されたメニューの画像を見せて「これをお願いします」と注文されるそうです。中山手本店には中国語・韓国語のメニューもあるのでご安心ください。
サービスや食器から伝わるおもてなし
コーヒーの味だけでなく、心に残るスタッフのおもてなしからも、老舗のこだわりが感じられます。写真は、食事をオーダーした方に提供されるタオル地のひざ掛け。軽食であっても、洋服が汚れないようにという優しい心遣いです。
1964年から使われているコーヒーカップは口当たりの良い有田焼(ありたやき)。厚手で保温性にも優れ、「最高の状態でコーヒーを味わっていただきたい」という思いやりを感じます。
ほかにも、雨に濡れた傘を入れる傘袋の貸し出しなど、多様なサービスが整っています。
ただし、中山手店ではクレジットカードの使用ができません。現金のみの取り扱いとなりますので、ご注意ください。
2.高級感あふれる「北野坂にしむら珈琲店」
「北野坂にしむら珈琲店」は、中山手本店から北東へ4,5分歩いた場所にあります。日本で初めての会員制喫茶店としてオープンし、1995年に一般開放されました。
お店は会員制だった頃の雰囲気を残す、高級感あふれる空間です。
赤煉瓦の建物を覆いつくさんばかりの植物。緑あふれる玄関から中へ入ってみましょう。
貴族の館のような佇まいの店内。低めのチェアーやソファに腰掛けて、おいしいコーヒーを楽しめば、つかの間「貴婦人」になった気分。旅の疲れも忘れてしまいそうです。
コーヒーとケーキのセットは税込1,200円。写真の季節のフルーツショートケーキ「ガトー・オ・フリュイ」以外にも、チーズケーキ「ゲーゼクーヘン」やチョコレートケーキ「オペラ」、アップルマンゴーのタルトなど、さまざまなラインナップから選ぶことができます。
北野坂店には中国語・韓国語・英語のメニューもあります。ケーキは、名前だけでなく写真も載っているため安心です。
スイーツ以外にも、サンドイッチやキッシュなど、軽食もあります。
2Fはクラシックな雰囲気のレストランで、食事を取ることもできます。お店を訪ねたあとは、歩いてすぐの「神戸ムスリムモスク」や、北野坂を上ったあたりにある異人館「風見鶏の館」を訪ねてみてはいかがでしょう?
阪神・淡路大震災を乗り越えて
1995年1月17日、神戸のある兵庫県南部を中心に京都や大阪などを大きな地震が襲い、甚大な被害をもたらしました。神戸にしむら珈琲店でも、各店舗で大小の被害があったそうですが、幸いなことに全壊したお店は無く、最大の被害を受けた中山手本店も地震から4ヶ月後に再開の日を迎えました。
幾多の困難を乗り越え、長い年月のうちに信頼を得た老舗は、お客さんにとって心の拠り所。人々の記憶に残り続けている場所でもあります。
一見格式が高く、貴族の館のようですが、「故郷へ帰ってきたかのような」居心地のよさも感じられます。それはきっと、「手間暇をかけておいしいものを」と受け継がれてきた真心と、このお店を愛し、通いつめる人々が作り出す、温かな雰囲気によるものでしょう。
神戸を訪ねたら、ぜひ神戸にしむら珈琲店へお立ち寄りください。
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In cooperation with 神戸にしむら珈琲店
日本文化、特に絵画や工芸品が好き。福岡、京都、大阪、ベルギー、アメリカを経て現在は神戸在住。座右の銘は「住めば都」。