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【Ready For Japan! vol.9】耳で日本を旅しよう!日本旅行で聞こえる5つの音
「日本らしい音」と聞くと、みなさんは何を思い浮かべますか? 祭りや伝統芸能で奏でられる和楽器の音や、街で聞こえる電車の発車メロディーなど、本記事では日本で聞こえるさまざまな音を紹介します。実際に訪れることが難しくなってしまった今、日本ならではの音を聞いて、旅行気分にひたりましょう!
音で日本を旅しよう
Photo by Pixta
外出できない状況が続く中、これまでの旅行で撮った動画や写真を眺めたり、映画やドラマを見たりと家での楽しみ方を探している人も多いでしょう。旅行が好きな方は、家にいても旅の気分を味わえたらきっと楽しいはず。
次の旅行に日本を考えている方は、訪れる時を想像しながら、まずは耳だけでも旅へ出かけてみませんか。今回は、日本で聞ける"音"に注目してご紹介します!
1.気分が盛り上がる!祭りの音
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浅草の三社祭や京都の祇園祭など、日本では年間を通して全国各地で祭りが開かれています。
多くの祭りで聞こえてくるのが、「お囃子(はやし)」と呼ばれる音楽。高い音を響かせる締太鼓(しめだいこ)、メロディを作る篠笛、低い音でバランスを保つ大太鼓に、指揮者のような役割をもつ摺鉦(すりがね)などの和楽器で構成され、祭りの雰囲気を作り上げています。
祭りによっては山車(だし)に乗り、お囃子の音に合わせて獅子やひょっとこ(※1)、キツネなどに変装した人が踊りを披露することも。山車ごとに音楽や踊りの腕前を競い合う場面もあります。
※1:ひょっとこ……口をとがらせたユーモラスな表情の男の人の仮面。
また、徳島県の有名な祭り「阿波おどり」では、上記の和楽器に弦楽器の三味線も加わって二拍子の音楽が奏でられ、男踊りと女踊りの2つの舞が行われます。聞いていると身体が動いてしまいそうな軽快な音楽に、気分も弾んできますよ!
2.耳で味わう伝統芸能の音
「文楽って何?第一線の演者が語る、世界最高峰の人形劇『文楽』の魅力とは」より
お囃子は伝統芸能の場にもあります。たとえば、女性や鬼などのお面をつけて舞う「能」。締太鼓や笛に加え、鼓(つづみ)と呼ばれる、手で叩いて鳴らす太鼓を用いた音楽に合わせて演者が舞台を舞います。また、ユネスコの無形文化遺産にも登録された人形劇「文楽」では、三味線の音色とともに物語が進行します。三味線は登場人物の感情の揺れ動きを表現する重要な役割を担っているのだそう。
伝統芸能のなかでもっとも馴染みやすいのが、歌舞伎ではないでしょうか。古くから続く演目はもちろん、2015年には人気漫画『ONE PIECE』を原作とした歌舞伎も上演されました。ここでは、歌舞伎で聞けるお囃子の音を聴いてみましょう。
開始の準備が整ったことを告げる儀礼囃子「着到(ちゃくとう)」と呼ばれる演奏です。開幕30分前ごろに行われ、笛の澄んだ音色と、締太鼓、大太鼓の軽快なリズムがこれから始まる演目に向けて観客の気持ちを盛り上げます。
舞台では、演目によって奥にひな壇が作られ、三味線や小鼓などを使って演奏される「出囃子」も登場。演目が賑やかに彩られます。
「チケットが無くてもOK! 初めての『歌舞伎座』楽しみ方ガイド」より
さらに演目の中では、舞台で使用する効果音に意外なモノが使われていることも! 上の写真はあずきを使ってある自然の音を表しています。どんな音を表現しているか、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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3.癒し効果が抜群の日本庭園の音
山をかたどった築山、点在する石、メインに配置される池などから自然の様子を表す日本庭園。歩いていると、水が静かに流れる音と、時々"カコン"と何かがあたる音が聞こえることがあります。
この音、実は意図的に作られている「ししおどし」の音なのです。本来は田畑を荒らしに来る害獣を脅かして寄せつけないようにするためのものでしたが、その音の美しさから、今では日本庭園に作られるようになりました。
片側を斜めに切った竹筒の中に水を流し、水が満杯になった重みで竹筒が傾きます。中の水が出されたあと、元に戻った際に竹筒が石に勢いよく当たり、音が響く仕組みです
手を清めるために水を貯めておく「手水鉢」の周辺でも、耳を澄ませてみましょう。手水鉢から水を汲み、水を落とすと、地下から鉄琴のような音色が聞こえてくる場所があります。
これは、地下に甕を埋め、底にできた水面にしずくが落ちて奏でられる「水琴窟」というもの。透き通るような音色に心も穏やかになりそうです。
日本庭園の様子を思い浮かべながら、ふたつの音を楽しんでください。
4.マインドフルネスに最適なお寺の鐘の音
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禅や仏教の教え、特に修行のひとつである坐禅は「今、この瞬間」を大切にするマインドフルネスとして注目を浴びるようになりました。家の中でも坐禅はできますが、お寺の雰囲気の中で行うと、気持ちも一層引き締まるもの。
早朝や夕方に鳴らされるお寺の鐘を聞いて、雰囲気を感じてみましょう。大きな鐘の音はもちろん、あとに響く余韻が境内にいるかのような気持ちにさせてくれます。
何もせずに座り続けることは、意外と難しいことです。鐘の音に耳を傾けながら座禅をすれば、家の中でも集中できるかもしれません。
5.耳だけ乗車!電車の発車メロディー
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ザワザワとした人ごみに、鳴り響く電車の音。日本へ旅行に来た方は、駅のプラットフォームで必ず耳にする音ではないでしょうか。日本では電車の発車サイン音がメロディーになっており、鉄道会社や駅によってそれぞれ異なります。
東京、渋谷、新宿を通るJR山手線の発車メロディーを再現したものがこちら。心地のよいリズムが耳に残ります。
発車メロディーは、その駅周辺の特色にあわせて作られているところもあります。たとえば、東京メトロ日比谷線の秋葉原駅では、日本のアイドルグループAKB48の曲「恋するフォーチュンクッキー」、千代田線の乃木坂駅でも同じくアイドルグループ乃木坂46の曲「君の名は希望」が使われており、ファンにはたまらない演出!
大阪でも、JR大阪環状線の新今宮駅では駅近くの繁華街「新世界」にちなんで、ドヴォルザーク「交響曲第9番(新世界より)」が流れます。
ほかにもJ-POPや童謡を取り入れたユーモアあふれる発車メロディーがたくさん。発車メロディーを聞く電車の旅も楽しそうですね。
次は音を巡る旅へ
紹介した音は、実際に日本で聞こえるものばかりです。実際に聞いてみたいものはありましたか? 次の旅行は、聞きたい音を巡る旅を計画してみても面白いかもしれませんね。
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MATCHA編集者兼フリーライター。東京生まれ東京育ち東京在住。これまで渡航した国は30か国以上、住んだ県は4県。日本旅行はもうすぐ全都道府県を制覇!「読んだからこそわかるその土地の魅力」が伝えられることを目指して記事を作っています。森とお寺とラクダが好きです。