旅の準備はじめよう

京都府亀岡市・旧亀山城下町に広がる「H商店街」のまち歩きスポットを紹介します。どれも地元住民に親しまれてきた、温かい雰囲気の店舗がほとんど。亀岡の人々の暮らしに触れる、少し違った「京都観光」を楽しんでください。
商店街に向かう途中で見えてくる、「王地山稲荷大明神(おうじやまいなりだいみょうじん)」。通称「負けきらい稲荷」です。
以前にこのエリアを治めていた、松平信岑(まつだいら のぶみね)が大事にしていた稲荷です。「負けきらい稲荷」の由来は、毎年開催されていた藩(※2)対抗の相撲大会が関係しているのだとか。
当時、このエリアの藩主に仕えていた力士は、大会で負けてばかり。しかしある時、こちらの稲荷の化身が力士となって現れ、連戦連勝したと言われています。
藩主も大喜びし、ここには「勝利の神様」がいると、小さい祠ながらずっとこの地に受け継がれてきました。
※2:藩……江戸時代の地域区分のひとつ。特定の諸侯が統治する領地・組織のこと。
1958年創業の「さか井食堂」。街の食堂として、地元で暮らす人々に長い間親しまれてきました。昆布・かつお節・醤油で作られた出汁も創業当時から変わりません。
明智光秀の家紋(※3)であった “桔梗(ききょう)の花” に見立てて具材を乗せた「城下町ぶっかけうどん」(税込630円)。のり・天かす(※4)・ネギ・しいたけ・紅生姜がトッピングされています。
※3:家紋……祖先や家に伝わる紋章のことで、素性や系列を見分けるための「ロゴマーク」のようなもの。
※4:天かす……天ぷらを揚げる際に残る衣のこと。
こちらはファンも多い「オムライス(※5)」(税込730円)。味噌汁もセットでついてきます。ぎっしり詰まったケチャップライスの色と形が、オーストラリアの世界遺産 "エアーズロック" のようだと、若者を中心に親しまれています。
ほかにも、先ほど紹介した「負けきらい稲荷」にちなんで、毎月17日には「いなり寿司ときつねうどんのセット」(税込630円)が食べられます。
※5:オムライス……鶏や野菜などの具材と一緒にご飯を炒め、最後に卵で包んだ料理のこと。ご飯の味付けはケチャップが定番。
こちらは大正時代(1912-1926)から続くパン屋。先ほど紹介した「さか井食堂」の隣にあります。
店内には「あんパン」(税込108円)や「クリームパン」(税込108円)など昔ながらのパンが並びます。
西脇製パン ポワールの近くには、小学校・中学校・高校があり、地元の子どもなら必ず1度は食べたことのある味。
こちらのパンを食べて育った方がカフェを開業し、メニューに西脇製パン ポワールの食パンを使っています。地域の人に愛されて続けている様子がうかがえるエピソードですね。
こちらはオススメの「チョコラスク」(税込108円)。街歩きのおともにぴったりです。店内には2席ほどイートインコーナーがあるので、休憩の合間に食べてみてもよいかもしれません。
1974年創業の「古布 井尻」。店内には、ユーズドや未使用品の着物・帯・小物や端切れが並んでいます。商品の中には、明治時代や大正時代の物も。
普段着用、お茶席用など、シーンに合わせてさまざまな着物がリーズナブルに提供されています。また、小物づくりにぴったりの端切れの種類もとても豊富です。
店番をしている、井尻夫妻。今の社長は井尻夫妻の息子です。「小さな店なので雑多に商品が並んでいますが、その中から宝探しをするように、お好みの品を見つけに来てください。」と話されていました。
ぜひ、“自分だけの1着” や “自分だけの1枚” に出合いに訪れてみてくださいね。
また、井尻古布は、毎月25日に京都市・北野天満宮(きたのてんまんぐう)で開催されている「天神さんの日」にも出店しています。この日は、6時〜21時頃までの間、参道(さんどう)に陶器や古い着物などの様々なお店が並びます。「日本文化」に興味をお持ちの方はこちらを訪れてみるのもいいかもしれません。
豆の買い付けから焙煎・販売までを行う、コーヒー豆専門店の「カフェタイム」。実際にコーヒー農園を訪れ、現地の農家とコミュニケーションをとりながら、品質にこだわったコーヒー豆のみを仕入れています。
また、オーナーの糸井さんは「Cup of Excellence」という、世界一厳格と言われるコーヒーの品評会で審査員を務めています。
店内にはカフェスペースもあり、おいしいコーヒーと一緒にゆったりとした時間を過ごすことができます。
ドリップコーヒーやフレンチプレスで淹れるコーヒー、アイスコーヒー、エスプレッソやカプチーノなど、どれも本当においしいですよ。歩き疲れたら、一休みしに訪れてみてはいかがでしょうか。
亀岡市はいわゆる“観光地”でありませんが、昔から受け継がれてきた、人々の営みを感じられる場所。
亀岡市で、いつもと少し違う京都旅行を楽しんでみてはいかがでしょうか。
取材協力:H商店街加盟店舗(さか井食堂、西脇製パンポワール、古布井尻、カフェタイム亀岡店)
※本記事は2017年9月取材時点の情報です。
ライター
Kyoto / Kameoka 「遠くて近い」を探りながら、肌で感じる面白さを綴っていきたいです。