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神戸「弓弦羽神社」の神様に願いを込めて!フィギュアスケート羽生選手も祈願に訪れた開運スポット
神戸市にある御影(みかげ)地域の弓弦羽神社は、熊野大神(くまのおおかみ)を祀る「みちびき」の神様。開運や勝運祈願に訪れる人も多く、名前が似ていることから、男子フィギュアスケートの羽生選手もお参りに訪れた神社。サッカー日本代表と同じ八咫烏(ヤタガラス)をシンボルとすることから、サッカー選手やファンにも人気の高い神社です。
開運に導く「弓弦羽神社」
神戸の中心部・三宮駅から電車で10分ほどの住宅街・御影(みかげ)にある弓弦羽(ゆづるは)神社。8世紀末に創建され、1200年以上の歴史を有しています。
日本神話の時代に、天皇の后である皇后(こうごう)が、当地で弓矢と甲冑を納めて戦勝を祈願したことが名前の由来です。また、神戸のシンボル・六甲山の「甲」の字も、上記のエピソードが語源と言われています。
桜並木の参道を進むと、神社の入り口・鳥居が見えてきます。鳥居とは、神様の領域と人間の住む俗界との境界(結界)を示すものです。
参道の脇には、灯籠や手水舍(てみずしゃ)があります。お参りの前には、かならず手水舍で手を洗い、身を清めましょう。
木造の拝殿は90年ほど前に建てられたもので、神戸市内最大級。あらゆるご利益があるとされますが、とくに開運や所願成就へと導く「みちびき」の神様、パワースポットとして敬愛されています。
お参りの作法を参考にして、心穏やかに神様に願い事をしてみましょう。
スケートファンがこぞって訪れる聖地
長い伝統と歴史を誇るとはいえ、閑静な住宅街に佇む神社が、国内および近隣のアジア諸国で有名になった理由をご存知ですか?
きっかけは、フィギュアスケート男子で66年ぶりに2連覇を達成した達成した羽生結弦(はにゅうゆづる)選手。2014年ソチオリンピックに続き、2018年平昌オリンピックで優勝を果たしました。
名前の漢字に似た神社の名前をファンから伝え聞き、2011年7月に初めて参拝に訪れたことが報道され、神社の知名度がアップすることとなりました。
羽生選手は、平昌五輪の前年2017年6月にも参拝に訪れたそうです。必勝祈願だったのかどうかは、ご本人と「神のみぞ知る」ですが、多くのファンの「優勝して欲しい」という願いは、神社のご利益もあってか見事に叶えられました。
神社では、絵馬(えま)と呼ばれる小さな木の板に願いごとを書いて奉納します。羽生選手の活躍を祈るファンが奉納した絵馬が、数多く掛けられています。昨今では韓国や台湾から神社を訪ねる若い女性ファンも増えているそうです。
シンボルは八咫烏(やたがらす)!サッカー選手やファンも訪れる
熊野大神(※1)を祀る弓弦羽神社のシンボルは八咫烏(やたがらす)。日本神話では、天皇を熊野の国(※2)から大和の国(※3)まで導いたとされる鳥です。写真は手水舍。
伝統と歴史あふれる神社ながら、手水舎はセンサーシステムによる自動給水。近づくとお水が流れてきますよ。
※1:熊野大神……和歌山県にある熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)、熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)、熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)の祭神。
※2:熊野の国……現在の和歌山県南部から三重県南部の地域。
※3:大和の国……現在の奈良県。
サッカー日本代表チームのシンボルが八咫烏であることから、サッカー選手やファンも必勝祈願に訪れるようになりました。拝殿の西側にはこの地域で作られる、御影石(みかげいし)でできたサッカーボールがあります。
サッカーとの繋がりは、実は八咫烏だけではありません。開港後に神戸に居住した外国人からサッカーが伝えられ、サッカーが盛んになったこともご縁のひとつです。神社のある御影地区にあった御影師範学校(みかげしはんがっこう)は、何回も優勝するほどの強豪校でした。
石は触っても大丈夫。真ん中にステンレスの芯が入っているため、ゆっくりと横に回ります。勝利を祈りながら回してみてはいかがでしょう?
個性あふれるお守り・絵馬・おみくじ
社務所では、9:00〜17:00まで個性あふれるさまざまなお守りを受けたり、絵馬を奉納したり、おみくじを引いたりすることができます。
常時ではありませんが、巫女さんからお守りを受けることもできます。神社らしさに触れて、旅の思い出も倍増ですね。
「みちびき」の神様であることから、勝運祈願に来る人も多く、こちらは「勝守」。初穂料(※4)は800円。
※4:初穂料……神社に渡す謝礼(お守りなど神社で購入するものの金額)のこと。「穂」は稲穂の意味で、もともとは「その年初めて神様に捧げる農作物(主に米)」のことを意味する。謝礼は消費に該当しないため、消費税は不要。
サッカー選手やサッカーファンに人気の高いボール型のお守り。初穂料は800円。
お守りの種類はさまざま。海外からの羽生ファンには、100個近くお守りを授与される方もいるそうですよ。
四角いカード型のお守りは、お財布や定期入れにぴったりの薄型。かさ張ることなく持ち歩きできますね。初穂料800円。
サッカーボールや八咫烏の絵馬。初穂料はすべて800円。
お守りだけでなく、ユニークなおみくじも勢ぞろい。今年の運気を占ってみませんか? おみくじは1つ200円~です。
境内にあるユニークなスポットを巡ろう!
昔の人が使っていた力比べの石
「力石」は力比べに使った石。重い石を持ち上げられるかで競い合いました。力比べは江戸時代から行われた行事で、石の重さや持ち上げた人の名前が石に刻まれています。
境内の一角には酒樽も
境内の一角にある神饌所(しんせんじょ)には、菰樽(こもだる)と呼ばれる日本酒の酒樽が奉納されています。
弓弦羽神社は、灘五郷と呼ばれる日本酒の酒どころである神戸市東灘区に位置するため、名高い蔵元が氏子(※5)として神社を守っています。
※5:氏子(うじこ)……同じ地域に住む人を守る神(氏神)に対して、それを信仰している者。
ペット用の水飲み場
神社の周りには静かな住宅街が広がります。ペットを連れて散歩に来る人も多く、犬用の水飲み場があります。地域に根ざした神社らしい心遣いですね。
お祭りや桜の季節にも訪ねてみよう!
5月に開かれる「地車(だんじり)祭」
画像提供:弓弦羽神社
画像提供:弓弦羽神社
日本のお祭りは、春に作物の豊作を祈願し、秋に収穫を感謝する神事から始まりました。弓弦羽神社でも、毎年5月3〜5日に「地車祭」が開催されます。
人口約20万の東灘区に31基ものだんじりがあり、弓弦羽神社だけでなく、地域一帯の氏神様に捧げる祭で、大々的なパレードも行われます。
なお、地車(じぐるま・だんじり)とは、神社の祭礼で曳かれる車輪のついた山車(だし)・屋台のこと。大阪岸和田の「だんじり祭」や京都の「祇園祭」でも使われています。
桜の時期には「御影花びらまつり」
毎年4月上旬の桜の時期には「御影花びらまつり」が開催されます。参道の両側ではソメイヨシノ、拝殿前では2本のベニシダレザクラが春爛漫と咲き誇ります。
桜の開花時期は毎年変わるため、満開の花を楽しみたい場合は、開花状況に注意しましょう。
画像提供:弓弦羽神社
花びらまつりでは、灘五郷の蔵元を氏子に擁する神社らしく、日本酒のふるまい酒のほか、酒造り唄が披露されます。
神戸を訪れたら、郊外の静かな住宅街にある弓弦羽神社を訪ねてみてください。心穏やかに願い事をすると同時に、日本人の日常生活に根ざした神様との関係を体感してみてはいかがでしょう?
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取材協力:弓弦羽神社
日本文化、特に絵画や工芸品が好き。福岡、京都、大阪、ベルギー、アメリカを経て現在は神戸在住。座右の銘は「住めば都」。